産業医科大学医学部医学科 総合型選抜 合格

―――何事にも全力で頑張れたのは、他の東筑生も必ず何かを頑張ってて、その姿を横で見れていたおかげだと感じます。

(インタビューより抜粋)

 本校には校内外での様々な課外活動を積極的に行う生徒がいます。今回は高校生によるボランティア団体を立ち上げて社会課題解決を行ったり、本校が紹介する様々な外部イベントに積極的に参加して、その成果や能力を活用しながら総合型選抜で医学科に合格を果たした生徒にインタビューを行いました。

(1)合格を知ったときの率直な感想を教えてください。

 とても安心しました。嬉しい気持ちよりも安心感が大きかったです。理由があって、普通は試験に合格していたら嬉しいっていう気持ちが大きいとは思うんですけど、私の場合は、学校推薦型選抜が1回駄目だったので、そのときにショックが大きくて、1回諦めそうにもなったくらいだったので、その後の総合型選抜の方でちゃんと合格できたのを知ったときはすごく安心感が大きかったです。

―――なるほど。そうだよね。

 ボランティア活動とかで、いろんな方と知り合うことが多くて、やっぱり高校生なので「将来の夢は?」とか聞いていただくんです。そのときにも(医師だと)答えてたので、ちょっとプレッシャーとかもあったりして、それもあって、約束を破ったようにならずに済んだっていう安心感とかもあったと思います。

―――確かに。今までいろんなところで言ってたから、自分でハードルを上げていて、それで次会ったときに残念だったと知ったら向こうも気を使うだろうしね。 それは安心っていうのは的確なのかもしれない。

(2)入試内容はどのようなものでしたか。

 はい。総合型選抜では、一次試験でプレゼンテーションと面接を、二次試験では共通テストの数学、理科、英語を使いました。

(3)出来栄えはどうでしたか。

 はい。プレゼンは練習のときに比べるとちょっと手こずったところもあったんですけど、ちゃんとしっかりスライドの資料作成も話す準備もできて、実際のプレゼンも10分間の中の9分くらいを使ってしっかり話すこともできました。面接も難しい質問も来たんですけど、全て一応頑張って答えて、手応えはありました。共通テストは合計8割強くらいでした。

―――プレゼンは、スライドって紙芝居形式だったっけ?

 そうです。スケッチブックの何ページかを使って自分でペンで書いていくっていう。

(4)なぜこの入試を受けようと思ったんですか。

 一番の理由は、プレゼンテーションは得意分野だったからです。正直、高校生活では勉強以外にも、部活動・生徒会・ボランティア活動と、いろいろなことにも力を注いでいた分、勉強面は少しおろそかにというか、なってしまっていたところもあって、医学部の一般入試で合格するのに必要なレベルには満たしてない自覚はあったので、学力に自信はなかったんです。なので、プレゼンでカバーすれば、自分の夢に向かっていけるかなと思って、この試験を受けることにしました。

―――なるほど。功を奏している感があるよね。

 はい、助かりました。

―――夢自体は医師っていう?

 そうですね。ただ、医師っていうふうに元々固まってたわけではなくて、幼い頃から医療系への憧れと、あと誰かを笑顔にできるような、誰かの力になれるような仕事に就きたいっていうふうに考えてたので、その中で薬剤師だったりとか、医療機器をつくる技術者だったりとかも興味はありました。だからいろいろ悩んだりとかもして・・・。ただ、中学のときに医師を目指すって言って卒業していく友達が多くて、みんなもそれぞれの高校で頑張るなら私も東筑で医師を目指して頑張ってみようって思って、東筑に入って、それからは医師を1本で目指してました。

―――幼稚園のときから考えてたっていうのは・・・。

 何となくなんです。はっきりとこの先生に憧れたとかはないんですけど、幼い頃からアレルギーが結構あって、皮膚科の先生とかにとてもお世話になってていたので、身近な存在だったんだと思います。

(5)高校での教科学力の成績はどうでしたか。

 私は、理系の、授業進度が速めで東大、京大、医学部志望者が多いクラスに入ることはできてはいたんですが、産業医科大学も、一般入試で合格できるかっていうと、結構ギリギリのラインだったかなとは思ってます。塾に行ってなかったのと、だからといって家庭学習の時間をしっかり取れてたわけではなかったのもあって、予習が難しく、日々の授業についていくことと、課題や小テストや考査の勉強することだけでも結構精一杯でした。なので、プラスアルファ何か勉強するというよりは、課題とかだけはきちんとやろう、最低限のことはしっかりやらないと!って感じでやってました。

―――3年生のときに模試で判定が出てたかもしれませんが、その判定的にはどうだった?

 国立大(医学科)はE判定がでてました。

―――それでも共通テストで全教科でも8割超えてたよね?そして、入試科目も8割超えるところまで上げれたのは、もう大したもんだよね。

 学校推薦型選抜が駄目だったときにもし共テを受けてたとしたら、絶対6割5分ぐらいだったと思います。学校推薦型選抜の不合格が出てからは総合型選抜に必要な科目だけを必死に約1ヶ月間やって、何とかギリギリ(8割まで)持っていきました。

(6)出願前、学校ではどのような指導を受けたのか教えてください。

 はい。各教科は通常の授業ですが、1組(理系難関クラス)だったので、3年生になると普通に授業というよりも、演習が多かった気がします。それに加えて、担任の先生が学年全体で医学部の志望者向けの放課後課外をしてくださったので、それに参加して、医学部入試の面接での回答パターンとか、重要なポイントとかを学ぶことは出願前からやってました。

―――今回、出願に必要な書類って、自分で書いたりするものってなかった?志望理由書とか?

 ありました。2年生の最後ぐらいに1回志望理由書をみんなそれぞれ書くタイミングが進路HRであって、その後時間があいてから、3年生の夏休みに希望者で小論文の指導があったので、そのとき初めて小論文の指導だけ取って、その頃から志望理由書は準備し始めました。

―――それは担任の先生から添削を何回かしてもらってみたいな?

 はい、結構何回も。沢山駄目出しをいただきまして(笑)。ただ、そのときは学校推薦型選抜のみの準備ですね。総合型選抜は出願期間が始まってから、学校推薦型選抜と併用して受けれるって知って慌てて準備したので、結構もうギリギリで準備しました。また書式が違うので・・・。

―――内容は大きく異なるような感じ?

 学校推薦型選抜の方は、産業医科大学の志望理由と高校での特別活動の内容を1対1ぐらいのスペースに書くんですけど、総合型選抜の方になると、産業医になりたい理由と、なぜこの大学を目指すかっていうのが7割くらいで、文字数とかは指定なくて自分のサイズで書けるんですけど。残り3割くらいが高校時代に頑張ったことみたいな感じだったので。ちょっとだけ内容は変えました。

(7)受験前、学校ではどのような指導を受けたのか教えてください。

 はい。面接指導と志望理由書の添削指導を、担任の先生以外の何人かの先生にもしていただいたり、あとはプレゼン練習もしっかりしていただいたので、そんな感じの内容が授業とかに加えて、受験前にやってたことだと思います。

―――志望理由書は面接用にみたいな、提出したものをどういうふうに説明するかとかそういう話?

 いえ、指導は提出の前だけでした。私は書類に書く内容が多かったので、どう文量を削ってそこをうまく入れるかとか、そういう感じの部分を指導していただいてっていう感じです。

―――では、具体的に受験前って言ったら面接とプレゼンと、あとは必要な教科の勉強をしっかりやってたみたいな?

 はい。

(8)高校時代の取り組みについて、出願や入試でアピールした内容を教えてください。

 主に二つあって、一つはいろんなことに挑戦して頑張ってきましたっていうのを伝えました。私は中学の頃から高校では弓道部に入りたいなって思ってたので、東筑に入学してすぐ弓道部に入って、同期で一番最初の部員で、まず弓道をやってました。その後、生徒会をやってみようかなと思って、(生徒会長)選挙には出て、うまくいかなかったんですけど、副会長をさせていただけることになったので、ちゃんとした任期は2年生のなかばくらいからなんですけど、先輩の下についてっていうのは1年生の1月ぐらいから始まりました。そして、2年生の春ぐらいに(自身が立ち上げた)ボランティア団体の方も構想を練り始めてたので、夏に立ち上げるまでに準備をして、夏からは本格的に活動を開始してっていうふうに、勉強だけじゃなく様々な興味を持ったことに挑戦してきたっていうところの行動力とかをアピールしました。面接で、そういう活動の中で学んだことを将来医師になってどう活かしたいかとか、医療についてどう考えを膨らませるかみたいなところも伝えられるように工夫しました。

 あともう一つが、私、小学生から高校まで12年間皆勤なんですよ。そこをアピールして、スポーツなどの運動能力の自信はないんですけど、そこは日常的な管理の力で、医師になってから必要な体力はありますよっていうところだったり、いろいろ両立して取り組んでいたことで、そこの精神力、忍耐力とかもありますっていうところをアピールしました。

―――なるほど。確かに。医師には絶対必要不可欠だよね。

(9)高校時代にどのようなことに力を入れてきましたか。

 そうですね。さっきもお話させていただいた通り、いろいろなことに挑戦するっていうのを、私の高校生活での軸に持っていました。勉強も夢に向かって進むために絶対必要なので大切なんですけど、それ以外にも東筑に入って様々な出会いがありました。国内研修(東筑みらいクエスト)にも参加させていただいたり、部活動、生徒会、ボランティア活動だけでなく、グローバルキャンプとか、高校一年生のときに九州グローバルユースリーダーズサミットにもちょうど参加することができて、その中で東筑から参加するのも1・2年生だったので、2年生の先輩の知り合いができたり、九州のグローバル視点で進路を考えている高校生たちと友達になれたりとか。あと、グローバルキャンプ等で福岡県内の高校生や日本国内の大学生と、グローバルキャンプに来てたアメリカとかイギリスの大学生と仲良くなることができました。有名なところで言うと、アメリカにUCLAってあるじゃないですか、そこを卒業して歯医者さんになる研修医になるまでの期間で、今日本に来てるよみたいな感じの女の子と友達になったりとかして、アメリカでの歯医者さん事情を聞いたりとか。すごく人脈を広げるっていうのが、高校生活で一番できたと思います。でもたくさんの人と関わったりいろいろ表立ったりしてると、やっぱり自分の中でも精一杯頑張らないといけないことがあったり、きついことがあったり、あと、目立てばそれだけ嫌なこと言う人もいたりとかするんですけど…。よくないかもしれないですけど、その状況に慣れたところもあって、あんまり気にせずに自分の芯を持ってというか、目標に向かって周りに左右されずに行動するっていうことが高校3年間を通してできるように、精神力とかついてきたんじゃないかなって考えてます。

―――なるほど。いろいろやってきたんだね。

 SDGsのコンテストとかもやりました。1年生の最後の方に地理総合の授業でSDGsの内容があって、そのとき担当の先生にご指導いただいて、SDGsのコンテストが黒崎のユースステーションが企画しているっていうのを知って、応募して、いろいろアイディアを膨らませて、それこそプレゼンをさせていただいたんですけど、そうしたら最優秀賞いただいたりとか。いろいろチャレンジした分、うまくいかなかったものもあるんですけど、結構幸運が上手く働いたおかげで得られたものも多かったと思います。

―――なるほど。むしろうまくいかなかったものがそれなりにいっぱいあるからこそでもあるかもしれないよね。

 そうですね。

(10)進学して大学生活でやりたいことを教えてください。

 はい。一番今やりたいのは、また新たな環境に行くので、そこで新たに人脈を広げたり・・・。高校生活のときよりも、成人もして、やっぱり活動範囲も広がると思うので、もっと広い範囲で、なかなかできないような貴重な経験をできるチャンスを掴んでいきたいなって考えてます。なのでサークル活動とか、アルバイトとかも勉強と両立しながら積極的にしたいなとは思ってます。

(11)将来やりたいことを教えてください。

 そうですね。将来やりたいことは、最初にも少しお話させていただいた通り、多くの人を救える医師となって、それを通過点として、多くの人を笑顔にすることです。なので、医師として、人々が健康で幸せに生活していくために仕事をするっていうことももちろん必要ではありますが、それだけじゃなくて今までいろいろ自分が経験したきついことだったりとか大変なことで、同じように苦しんでる人とかがいたときに、仕事じゃなかったとしても、何か自分が力になれたりとか、支えられるような大人になりたいって考えてます。

―――なるほど。いろんな立場でできうることではあるよね。

(12)東筑高校での生活はどうでしたか。

 とても充実した3年間だったと思います、本当に。入学当初は将来の夢に向かって、勉強を、最初医師を目指すっていうふうに決めて、頑張ろう、かつ、余暇というか楽しみとして部活動も頑張ろうと思っていたんですけど、東筑に入ると8割9割が部活動生っていうことを聞いたりとかもして、部活の方もちゃんと力を100%でというか勉強と同じぐらい真剣に頑張らないといけないんだって思って部活動を始めた矢先、いつの間にか生徒会とか他の活動とかもするようになってて・・・。時間の使い方は勉強20%、他のこと80%になってたときもあったとは思うんですけど、何事にも全力で頑張れたのは、他の東筑生も必ず何かを頑張ってて、その姿を横で見れていたおかげだと感じます。それが勉強の方に重きを置いて頑張ってる人もいれば、同じように他の活動を頑張ってたり、部活動の方にすごい専念してたりとかするみんなの姿を見て、自分もちゃんと頑張らないといけないなと思って、途中で放り投げずに、友達のおかげで頑張ることができたのもあるかなと。

―――なるほど。

 あと、行事もすごく楽しかったです。東筑の行事ってほとんど生徒が企画書から作って主体でっていう感じじゃないですか。中学生活まではそういうことはなかったのに、東筑ではほとんど生徒中心になったことで、パソコン操作とかも私元々すごく苦手で、全然できなかったんですけど、副会長としていろいろやっていって、どんどん慣れることができたりとか、あと280人×3学年の大人数をまとめたりすることができたりしたのもすごい良い経験だったと思います。でも、全校生徒が行事を楽しめるようにいろいろ自分が頑張るっていうことも必要ではあったんですけど、自分自身も体育祭のとき演舞したりとか、文化祭のときのバラエティステージでダンスしたりとか。自分自身も楽しめた、すごく充実した3年間だったかなと思います。

―――あらゆる立場で、どういったところでも楽しんでるよね。

(13)本校を目指す中学生へのメッセージをお願いします。

 はい。東筑高校って聞くと、大半の方が進学率がすごいとか、野球が強いっていうイメージがあると思うんですが、勉強とか野球とかだけじゃなくても1人1人がすごく個性を持ってる学校だと私は感じてて、それぞれがやりたいことに向かって頑張れるような環境だったり、あとは先生方もそれをサポートしてくださったりっていう中で、夢に向かって勉強も一緒に頑張っていける環境があると思うので、高校生活始まると今まで感じなかった社会の縮図的なものも感じたりすることもあったんですが、それも東筑高校で、私の場合は生徒会に入っていろいろ先生方と関わってきたからこそ学べたことであって、他の高校に行くとそこまでいろんな経験はできなかったのかなとか思うところもありますし、最近はオープンスクールも生徒主体になったりとかしてて、中学生の方も感じられることはあると思うんですけど、本当にほとんど生徒主体で行動してるような学校なので、その高校生活中はきついって感じることもあるかもしれないんですけど、卒業するぐらいになると、いい経験ばかりだなって感じることができる学校なんじゃないかなと思います。

―――なるほど。

 だから、難易度が高いとか、自分はちょっと…みたいな感じを持つことなく、ぜひチャレンジしてみたら、きっと楽しい生活が待ってるんじゃないかなと思います。

―――実際にそれを経験したからこそ説得力はあるよね、いろいろなところで。ありがとうございました。